背景

近年、世界的に海洋でのプラスチック汚染は広く問題になっており、海洋生物の誤飲による死亡例も多数報告されている。海洋プラスチックごみの9割は陸上から河川を通じて海へ流出しており、2050年には海洋プラスチックごみの重量が魚の重量を超えると予測されている。日本でも島嶼部を中心に漂流するプラスチックゴミが集積し、処理が大変困難になっている。この問題に対して、ストローやビニール袋などのプラスチック製品の使用を控える動きや、すでに海洋や湖沼といった環境に流出したプラスチックの回収・除去を行う運動も盛んに行われているが、全体に対する影響は少なく抜本的な解決が求められる。さらに、漂着したプラスチックゴミはマイクロプラスチック化し、周辺の水質が悪化すると同時に、水産物などの食料への汚染も問題となっているが、マイクロプラスチックについての回収・除去技術はあまり進んでいないのが現状である。プラスチック自体に毒性はないと言われているが、魚の幼生が餌と間違えて誤飲してしまい最悪死に至ること、土壌生物や植物では成長が阻害されるなどの研究結果が報告されている。また、プラスチックは様々な化学汚染物質を付着する性質があり、海を浮遊する間に細菌などの病原体を吸着することも知られている。プラスチックに汚染された水産物が市場に出回れば、妊婦・乳幼児を中心に影響が出るのは必至である。事実、人は毎年、魚や貝類、水、空気などの飲食や呼吸を通じて、最大12万個超のマイクロプラスチックを食べているという研究結果も出ている。
海ゴミ(主に廃棄プラスチックゴミ)を削減するためには、①プラスチックの使用量を減らす、②プラスチックゴミを陸地から流出させない、③海ゴミを海岸あるいは海洋で回収する、という3つの方法が検討されている。しかし、プラスチックは必ずしも悪者ではなく、加工しやすさ、衛生管理のしやすさ、コストなどの観点から優れた素材であり、特定分野では代替素材が使われるようになるとしても、すべてのプラスチックを置き換えることは不可能である。また、流出してしまったゴミを回収するという点に関しても民衆の意識を変えるという点では有効であるものの、回収コスト・エネルギーを考えるとあまり有効な手段ではない。したがって、人間が出すプラスチックゴミをいかに陸地で処理し、海洋に流出させないようにするかが、海ゴミ問題を根本から解決するための鍵である。
そこで、細かな分別が必要ではなく、地域分散的に処理施設を配置して回収コストを減らし、プラスチックゴミは流出させず、処理コストをカバーできるようなサーキュラーエコノミーを実現できる分散ゴミ処理システムおよび付加価値創造型環境浄化システムの開発を行うことで、上述の課題に挑む。

ビジョン

・あらゆる国や地域が環境浄化と経済を自律的に循環させられる社会の実現。

・島嶼地域、災害被災地、ビルや商業施設に導入できる装置によって、ゴミを処理するだけでなく資源へと変え、その地域やコミュニティ、施設ごとにクリーンエネルギー・綺麗な水・安全な食料を自給できる社会を目指す。

  • これまでゴミ処理施設がなかった地域に亜臨界ごみ処理設備を導入する。
  • 亜臨界水処理により分別が不要になり、エネルギー及びコストの削減につながる。
  • 亜臨界水処理で残存する塩素系プラスチックは微生物処理で分解へ。
  • 微生物処理残渣を低温炭化し高エネルギーペレットを生産し、発電あるいは販売へ。
  • 周辺環境のプラスチック汚染水をプラスチック吸着藻類で浄化し綺麗な水をコミュニティへ。
  • 発電過程ででた二酸化炭素は回生利用し、浄化した水を用いて海藻培養・水産物養殖へ利用へ。